就職氷河期世代。
名前だけでも、なんだかサバイバル感が漂いますよね。採用枠が狭く、正社員になるのも難しかったあの頃。今40代後半から50代前半あたりの人たちがちょうどその世代に当たります。
でも、この世代はただ「厳しい時代を生き抜いた人たち」というだけじゃないんです。実は、パソコンやインターネットが社会に広がりはじめた“デジタルの夜明け”をリアルタイムで体験した人たちでもあるんです。
<感想を会話形式で>
ITに早く飛びついた人たちの行方

思い出してみてください。90年代後半から2000年代前半って、パソコンが急に一般家庭にも広まり始めた時期でした。インターネットに繋ぐと「ピーガガガ」ってモデム音が鳴って、数分後にやっとホームページが表示される……そんな時代です。
あの時、「よくわからないけど面白そう!」と飛びついた人たちがいました。周りから「オタクっぽい」とか「そんなの仕事にならない」なんて冷ややかな目で見られながらも、パソコンを自作したり、HTMLを手打ちしたり、掲示板で交流したり。
彼らはその後、フリーランスのプログラマーになったり、Web制作で独立したり、IT系ベンチャーを立ち上げたりしました。今では会社員としても「パソコンが得意だから」という理由で部署で重宝されたり、平均以上に稼げる立場になっていたりします。
もちろん、誰もが成功したわけじゃありません。でも少なくとも、ITにしがみついた人たちにはチャンスがありました。就職氷河期の厳しさを逆手にとって、新しい技術に早く飛び込んだ人たちこそが、自分の道を切り拓けたんだと思います。
上司世代は「アナログ→デジタル」の翻訳者

一方、その当時の上司たち。昭和から平成をまたいだ人たちは、まさに「アナログからデジタルへの切り替え」を経験した世代です。
紙の書類、電話とFAX、ハンコ文化。そんな世界で育った人たちが、突然「今日からメールを使え」「ワープロじゃなくてエクセルだ」「ハンコじゃなくてPDFの電子署名だ」と言われて、必死に順応していった。
この経験って実はものすごく大きいんですよね。アナログ的な感覚を持ちながら、デジタルに翻訳して現場に落とし込む力を身につけたわけです。だからこそ「昭和の匂いを残しながら、平成的な効率化を回す」ことができた。
そして令和、AIへのシフトが始まった

令和になり、時代はさらに動きます。
今はもう「デジタルの効率化」だけじゃなく、「AIによる置き換え」が始まっていますよね。
文章作成も、資料まとめも、デザインも。AIがある程度やってくれる。もはや「ツール」じゃなくて「相棒」みたいな存在になりつつあります。
ここで思うのは――就職氷河期世代、実は相性がいいんじゃないか?ということです。
なぜなら、この世代は「アナログからデジタル」の置き換えをリアルに体験しているから。すでに一度大きな変化を乗り越えているんです。だから「デジタルからAI」への切り替えも「また来たか」と柔軟に対応できるんじゃないかと思うんですよね。
「ハイブリッド仕事術」を持つ世代

さらに面白いのは、この世代って“仕事術のバリエーション”がやたら豊富なんです。
- 昭和的:根回し、電話営業、アナログな人間関係の泥臭いスキル
- 平成的:エクセル、パワポ、メール、効率化のデジタルスキル
- 令和的:AIツールの活用、リモートワーク、クラウド環境でのコラボ
この三つを全部知っていて、必要に応じて切り替えられる。
ある意味「ハイブリッドな働き方ができる唯一の世代」なんじゃないかなと思うんです。
例えば、若い世代がAIで作った資料を持ってきたとしても、「それだと相手の社長には響かないよ。ちょっと電話で直接話した方がいい」なんてアドバイスができる。AIやデジタルでは拾いきれない“泥臭い部分”を理解してるんです。
下の世代はどうなる?

では、氷河期世代より下はどうでしょうか。
- ゆとり世代
ワークライフバランスを重視し、「効率的に働いてプライベートも充実」という価値観が強い。合理的ではあるけど、泥臭いスキルはあまり経験していない。 - スマホネイティブ世代
手元のスマホでなんでも完結。検索もSNSも慣れているけど、逆にPC操作が苦手という人も多い。 - AIネイティブ世代
これから社会に出てくる若者は、最初からAIが当たり前にある環境で育つ。だからAIを使いこなすのは自然にできるけど、自分で考えて動く力は逆に弱まるかもしれない。
極端に言えば、「AIがあればなんとかなる」と思っているうちに、人間としてのスキルがふにゃふにゃのスライムみたいになっちゃう危険もあるわけです。
厳しさが武器になる世代

結局、就職氷河期世代がなぜ強いのかといえば、「厳しい時代を生き抜いたから」だと思います。
正社員の椅子は少なく、非正規で働きながらスキルを身につけた人も多い。安定した環境じゃない中で、工夫や努力を重ねないと生き残れなかった。
だからこそ、新しい技術が出てきたときに「よし、これを武器にしよう」と飛びつける人が多かったんです。今のAIブームも、あの頃のITブームと似ている部分があって、「やった者勝ち感」が強い。
そして、氷河期世代はもう一度その勝負をするチャンスが来ているんじゃないでしょうか。
主役になる条件はただひとつ

就職氷河期世代は、アナログもデジタルも泥臭さも知っている、バランスの取れた世代です。だからこそ、AI時代においてもまだまだ主役になれる可能性があります。
でも、条件はひとつだけ。
「新しいAI技術に素早くしがみつけるかどうか」。
過去にITに飛びついた人が今成功しているように、AIに飛びついた人がこれからの時代を牽引していく。
結局、時代を動かすのは「誰よりも早く挑戦した人」なんですよね。
就職氷河期世代は、その厳しさを経験したからこそ、そのポジションをもう一度掴めるんじゃないかと思います。